ここに解説する11種の基本結びは,変化結びの基礎となるものです。そして,この基本結びは中国でよく見られる縁起のよい図案でもあります。(カッコ内は日本名です。)
雙銭結は中国結びの中でも最も古いものであり,変遷過程の資料も最も備わっている結びである。
雙銭結の形は二つの銅銭が重なっているように見えるので,この名前がつけられた。雙銭結の応用範囲は広く,ネックレスやベルトなどのアクセサリーを作ることができる。
雙聯結は2本の線を並べてきつく束ねたもので,この名前がある。
結びの形が簡単なので,単独では使われない。しかし,この結びの最大の長所は形が小さくほどけにくいことであり,しばしば主な結びの始まりや終わりの部分に用いられる。
1本の線でたくさんの雙聯結を連続させると,太いひもができる。
卍字結はもっとも早く見られたのが観音菩薩の帯の上で,結びの構造線の方向も卍の意味がある。「卍」の音は「萬」と同じで,「萬」の別字体とみなされ,また仏門のしるしであるため,卍字結と名づけられた。
この結びは簡単で速く作れることから,大量に使われることがある。
この結びは簡単にでき,結びの片面が十字,もう片面が口の字になっている。基本結びの中で唯一両面が異なるものである。
十字結の装飾性は高くないので,単独で使われることは少ない。
「十字」面
「口字」面
酢漿草(かたばみ)は湿ったところに生える植物で,ハート型の3枚の葉をもち黄色い小さな花を咲かせる。他に紫の花のものもあり,四つ葉のものをみつけると縁起がよいと言われる。
酢漿草結の名は西洋結びの本から訳したもので,3つの耳を3枚の葉に見立てて名づけられた。